エコ時代だからこそ向き合いたい「発電所」の歴史

お化け煙突(4本)|足立区立郷土博物館

新型コロナウイルス感染拡大から、リモートワーク&ステイホームを経て、厚労省提唱の「新しい生活様式」時代へ。身の回りを見直そうという気運も高まるいま、「新しい日常」に向けてエコロジカルなライフスタイルを深めたいとお考えの方も多いのでは。

エコと言えば、最近は少し都心を離れると太陽光発電設備を見かける機会が増えましたね。持続可能な社会づくりを展望する上でクリーンエネルギーはもはや必須ですが、その一方で、これまでの世界の発展を支えてくれた電力供給システムの歴史にもきちんと向き合い、労いの言葉をかけてあげたいところ。というわけで、散歩中に見た太陽光パネルからふと浮かんだ「発電所」という単語をキーワードに、MAPPS Gatewayを検索してみました。

 

  • 岩国電車火力発電所工事| 岩国徴古館

https://jmapps.ne.jp/iwakunichokokan/det.html?data_id=6423

まずは今から百年以上前、明治時代末期の資料から。明治42年(1909年)に撮影された貴重な写真。この年に開業した岩国電気軌道(山口県)が翌年3月に開始する電燈電気事業のために建設した火力発電所の工事の様子を捉えた一枚です。まだ工事を始めたばかりの段階でしょうか。ぜひ拡大表示でご覧ください。

 

  • 東京電気鉄道への発電所の見積書| 岩国徴古館

https://jmapps.ne.jp/iwakunichokokan/det.html?data_id=38099

日本のエジソンこと東京電気(後の東芝)の創業者、藤岡市助にまつわる資料から。こちらも凄いですね、何とタイプされた見積書だそうです。作成者はアメリカはニューヨーク州の蒸気・内燃機関メーカーで、宛先は明治39年(1906年)に合併で東京鉄道(東鉄)が誕生した際に消滅した3社の一角、東京電気鉄道。これは実物を見たいですね、特に鉄道ファンは必見ですよ。

 

  • 千住火力発電所の電力供給先| 足立区立郷土博物館

https://jmapps.ne.jp/adachitokyo/det.html?data_id=15740

大正15年/昭和元年(1926年)から37年にわたって近隣の街や工場に直接給していたという千住火力発電所。こちらは、当時の電力供給先を示したシンプルなマップです。人々の生活圏の中に建っていたこの発電所は、世界最大のレンガ建築のひとつであるイギリスのバタシー発電所のように、その風景が人々の記憶に焼き付いていますね。

 

  • おばけ煙突| 足立区立郷土博物館

https://jmapps.ne.jp/adachitokyo/det.html?data_id=12588

この愛称は、取り壊されて半世紀以上が経つ今でも有名ですね。昭和38年(1963年)に稼働を停止した千住火力発電所は翌年に解体されましたが、ありし日は場所によって煙突が1本から4本まで変化しているように見えたそうです。映画やアニメ、小説や漫画などでも頻繁に取り上げられたその姿は、多くの写真が残されています。当時を知らなくてもご存じの方も多いであろう「おばけ煙突」の雄姿、4方向からからお楽しみください。

お化け煙突(1本)

https://jmapps.ne.jp/adachitokyo/det.html?data_id=12427

お化け煙突(2本)

https://jmapps.ne.jp/adachitokyo/det.html?data_id=12428

お化け煙突(3本)

https://jmapps.ne.jp/adachitokyo/det.html?data_id=12429

お化け煙突(4本)

https://jmapps.ne.jp/adachitokyo/det.html?data_id=12430

 

  • 大正10年頃の明治通りー渋谷警察署前より  並木橋交差点方面ー| 白根記念渋谷区郷土博物館・文学館

https://jmapps.ne.jp/shibuyakyodo2/det.html?data_id=146

公私で渋谷を拠点にしている皆さん、これまた貴重な写真が出てきましたよ! 現在の渋谷駅と恵比寿駅の間には、何と火力発電所が建っていたのですね。写真は、大正10年(1921年)頃に撮影されたもので、渋谷警察署付近から並木橋方面を見た風景とか。ちょうど百年前あたりの風景ということになりますが、すでに路面電車が走っていますね。

 

  • 近代美術シリーズ第9集(岡鹿之助「雪の発電所」)| 香川県立ミュージアム

https://jmapps.ne.jp/kpm/det.html?data_id=78488

こちらは切手のコレクションから。洋画家・岡鹿之助の『雪の発電所』がチョイスされています。長野県は志賀高原の麓にある水力発電所「平穏第一発電所」をモデルに描かれた昭和31年(1956年)の作品で、切手の発行は昭和56年(1981年)。子ども時代に切手収集を楽しんだミドルエイジの方なら、見覚えがおありなのでは。

 

  • 花瓶| 岩手県立博物館

https://jmapps.ne.jp/iwtkhk/det.html?data_id=9874

銀で造られた花瓶。底部に「盛岡電気工業株式会社第四発電所落成紀念」と刻まれていますが、この第四発電所とは大正9年(1920年)に完成しつつも34年後に田瀬ダム建設で水没した現・岩手県花巻市の黄金山発電所とされているようです。時代の流れで発電所は消えますが、大切に保管された記念品は今年でちょうど百歳を迎えたわけですね…。

 

激動の時代を支えたレガシー技術とあって少しいかめしい印象もある「発電所」ですが、ミュージアムのコレクションには、やはり豊かな表情が収められていました。と言うか、想像以上に奥深い歴史を目の当たりにして、思わずグッと来てしまったり。

発電所は全国各地のランドマークでもあるので、もしかしたら旅行先の候補にしてみるのもいいかも。第二波に注意が必要とは言え、やっと外出自粛が解けた今、特に自動車でのドライブやバイクのツーリングには最適なのでは…と、地図を広げてみたくなる私でした。

 

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