鳥取砂丘・鳥取市歴史博物館

2017.12.2-3

壮大な砂丘、彼方に広がる日本海! というわけで、今回は鳥取編をお送りします。
鳥取砂丘と言えば植田正治の写真が有名ですが、素人の私がスマートフォンで撮っても十分にサマになる、素晴らしい光景が広がっていました。

急勾配の坂道「すりばち」の谷間まで歩いて来てみると、水が溜まっていました。この「オアシス」と呼ばれる水たまりは、地下に溜まった雨水が湧き出してできたもので、秋から春に見られるのだとか。

「歩いて来てみると」と書きましたが、実際には一歩踏み出すたびに足元がずぼずぼと砂に取られて、いつもの速さでは到底歩けないんです。すぐに息が上がってしまうので、ひと休みしようと立ち止まってみると、人の声がまばらに聞こえるのに気が付きました。反響が少ないためでしょうか? 砂が音を吸うのかもしれません。なんとも言えない不思議な、荒涼とした空気が漂っています。

いやはや、全身の感覚が研ぎ澄まされていくかのようなこの体験には、すっかり魅了されてしまいましたよ。それにしても、近くにお住まいの方々には、これは「日常」のことなんですね。なんだか羨ましく思ってしまいました。

 

鳥取市歴史博物館 やまびこ館

そんな鳥取の魅力への理解を深めるために、砂丘体験の次は鳥取市歴史博物館(やまびこ館)へ出かけてみました。企画展「館蔵絵図のセカイ」ののぼりが風にはためいています。

 

企画展「館蔵絵図のセカイ」ポスター

展示室内では写真を撮ることができませんが、まずズラッと並ぶ巨大な絵図に圧倒されてしまいました。戦のために描かれた地図と、観光用に描かれた地図とでは、まるで別の景色が浮かび上がるかのよう。ひとつのものに対して様々な視点を得られるのも、ミュージアムの魅力ですね!

ところで、展示資料に目を通していくと、昔の観光パンフレットに、砂丘は「地質學界の珍奇に属す」と紹介されているのを発見しました。そうそう、まさに「珍奇」そのものでした! 古い資料なので、書かれた方はきっともうお亡くなりになっているはずなのに、感覚を共有しているような気分。あの光景、あの空気、そしてあの砂は、時代を超越しているのですね…。

階段をおりていくと、その先には常設展の展示室があります。ここでは、風土と城下町をテーマに、鳥取をめぐる人たちの生きざまにスポットをあてた展示が展開されていました。

驚いたのが、そのボリュームです。とにかく盛り沢山で、科学館のように鑑賞者がゲームで遊ぶように体験できる操作系の展示もたっぷり。これならお子さま連れでもきっと楽しめるはずですよ。

ちなみに、北海道開拓の時代には、鳥取から移住者も多かったのだそうです。かつての釧路には、「鳥取町」という町まであったのだとか。移住者のご子孫のなかには、蟹缶事業で成功された方もおられるとのこと。確かに、蟹と言えば、鳥取も北海道も有名ですよね。

実は、砂丘会館で、名物の海鮮丼をいただいてきたばかりの私。もちろん蟹入りでしたので、このエピソードには「なるほど~」となりました。やはり体感することは大事ですよね(笑)。

 

喫茶コーナー「カフェ&ランチ ひすとりあ」から臨む中庭と紅葉

樗谿(おうちだに)公園の夕暮れ

国指定重要文化財「仁風閣」

この日は、ちょうど紅葉の季節。夕陽に照らされていっそう彩りを増した景色の中で、大満足の砂丘&ミュージアム訪問を噛みしめながら一日を終えました。
これからは、雪の砂丘が拝める季節ですね。幽玄の世界を想像しては、早くも「また訪れたいなあ……」と浸ってしまうのでした。

 

●鳥取市歴史博物館 やまびこ館
「館蔵絵図のセカイ」展
2017.11.3-2018.1.8
http://www.tbz.or.jp/yamabikokan/special/3191/