春の行楽シーズン、お出かけの予定はお決まりでしょうか。今年の冬は寒かっただけに、ポカポカ陽気の中ですごす休日は、楽しみですよね。
行楽と言えば、お弁当。この季節に屋外でいただく食事は、ひときわおいしく感じるものです。また、ピクニックや運動会、お花見などの思い出には、家族や友人と食べたお弁当のシーンも付き物。また、最近では、健康志向の影響もあってか、職場でのお昼に外食せず「弁当派」の方が増えている様子ですね。
というわけで、今回のテーマは「弁当」です。昔の人々の食事風景を思い起こさせてくれるコレクションの数々、さっそく見ていきましょう。
■白木 つくし弁当箱 :アーカイブ中核拠点形成モデル事業 プロダクトデザイン データベース β版
https://jmapps.ne.jp/musabi_art_lib/det.html?data_id=1256
まずはこれ、2003年に制作されたお洒落な弁当箱。秋田杉を使っているそうで、おむすびがよく似合います。私たちが連想するベーシックなお弁当箱は、こんな感じですよね。
■ 弁当箱(メンパ) :戸田市立郷土博物館 収蔵品データベース
https://jmapps.ne.jp/tdskyodo/det.html?data_id=7353
■ 弁当箱(ワリゴ) :戸田市立郷土博物館 収蔵品データベース
https://jmapps.ne.jp/tdskyodo/det.html?data_id=1303
続いては、耳慣れない言葉が出てきました。「メンパ」「ワリゴ」って何でしょうか?
こんな時は、MAPPS GATEWAY でその用語について検索してみるとヒントが出てくることが多いですよ。まずはメンパから調べてみましょう。こちらをクリックしてみてください。
どうやら、楕円形の弁当箱を指すようですね。続いて、ワリゴも見てみましょう。こちらです。
こちらは、「一度にたくさん持ち運べるように、おかもちのような箱に入れられる四角い弁当箱」のようです。
メンパの方は、曲げの加工技術だったり、塗りで豪華さを演出したりといったバリエーションも。井川メンパという静岡県の伝統工芸品があるみたいですね。ワリゴは、いくつもの弁当が入ることから、グループでのお出かけシーンが見えるような気がします。たとえば、次のようなものは、まさに上で見た説明のイメージ通りですよね。
■ ワリゴベントウバコ :知多市歴史民俗博物館 収蔵資料データベース
https://jmapps.ne.jp/chitaaichi/det.html?data_id=2248
観劇に行くときに持参したとのこと。とても贅沢なひと時を過ごしている様子が目に浮かびますよね。
■ 弁当箱 :東近江市博物館 データベース
https://jmapps.ne.jp/higashiomi/det.html?data_id=1160
こちらには、はっきりと「花見弁当」とあります。やはりおかもち風で、明治時代のものとのこと。
■ 弁当箱 :東近江市博物館 データベース
https://jmapps.ne.jp/higashiomi/det.html?data_id=1168
同じミュージアムの所蔵品で、やはり明治時代のもの。お弁当どころか、お酒を温める準備まで万端…というわけですね。
さて、贅沢なお弁当と言えば、こちらなどいかがでしょう。
■ 弁当箱 :天城町文化遺産データベース
https://jmapps.ne.jp/amagi/det.html?data_id=371
こちらは徳之島の資料です。奄美には「一重一瓶」という言葉があって、お祝い事や地域の行事に酒と肴のお重を持ち寄ったそうです。
豪華な弁当箱を見ていると、弁当は特別な日の習慣のようにも感じますが、実際はもっと日常的なもの。すっかり見かけなくなりましたが、私にとっての弁当箱のイメージは、このようなシンプルなものでした。50代以上の方は、懐かしいのではないでしょうか。
■ 弁当箱 :江別市郷土資料館 収蔵品データベース
https://jmapps.ne.jp/ebetsu/det.html?data_id=3835
この使い込み具合も「弁当箱」ですよね。
ところで、最近、カバン売り場で通勤バッグを見ていると、「弁当箱が立てたまま入ります」とアピールしているものを見かけます。確かに、弁当は持ち運びが基本。特に野外で仕事をする方にとっては、「弁当箱を運ぶ道具」は大切だったようです。
■ 手籠【hand basket】 :新潟県立歴史博物館
https://jmapps.ne.jp/ngrhk/det.html?data_id=1036
遠出する際、中に弁当を入れて肩から斜め掛けするそうです。ちょっと粋な感じがすると言いますか、時代劇でもそんなスタイルを見たことがあるような。似たような道具の使い方の写真もありました。
■ スカリに弁当を入れて、イノシシを追いかけ :滋賀県立琵琶湖博物館 歴史・民俗データベース
https://jmapps.ne.jp/biwahaku_h/det.html?data_id=93349
両手が空くので旅にはいいだろうな…とは思っていたのですが、猟師さんなら確かにイメージにピッタリです。なお、滋賀県立琵琶湖博物館 歴史・民俗データベースには、「スカリ」そのものの説明や、その中に入れる弁当箱「メンツ」もあるので、併せて見てみると具体的なイメージをつかむことができますよ。
■ スカリ(透り)https://jmapps.ne.jp/biwahaku_h/det.html?data_id=8745
■ メンツ(面桶)https://jmapps.ne.jp/biwahaku_h/det.html?data_id=5794
(いずれも滋賀県立琵琶湖博物館 歴史・民俗データベース)
■ セオイカゴ :小松市立博物館 コレクションデータベース
https://jmapps.ne.jp/kmthk/det.html?data_id=5180
昭和14年頃のもの。苗床から切り取った苗を入れて運んだり、衣類や弁当を持ち運んだりするのに使ったそうです。昔は、「篭」は本当に超便利アイテムだったのですね。
レジャーだったり、オフィスでのランチタイムだったりと、比較的楽しいイメージがある弁当ですが、昔の人々にとっては、厳しい野外での仕事での携行食という側面が強かったのでしょうね。でも、この季節の行楽地であれば、昔の人もお弁当でテンションが上がっていたのでしょう。最後に、そんなシーンを描いたと思われる北斎の浮世絵から。
■ 諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧 :岐阜県博物館 収蔵資料データベース
https://jmapps.ne.jp/gifuhaku/det.html?data_id=227985
天保4年(1833年)ごろの作品で、左側に弁当を広げている行楽客が見えます。この場所にタイムスリップしたら、一緒に楽しめそうな雰囲気ですよね。
というわけで、お弁当箱特集でした。この季節にミュージアムへ出かけるなら、ちょっと注目してみると面白いかもしれませんよ。
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