意外なモノにも使われていた、「螺鈿」の輝き。

 

 

子どものころ、海で拾った貝殻を集めた経験はありませんか? 私は幼いころ、貝殻の内側には光沢があり、光が当たる角度によって色が変わるものもあることを知って、宝石を発見したような気分になったことを覚えています。もちろん大事にしていたのですが、いつごろ「特別なものではない」と気付いたのかは覚えていません…。

あの模様を活かして漆器などの装飾細工に使う技法、及びその技法で作られた工芸品は、「螺鈿(らでん)」と呼ばれます。繊細な輝きを放つ様子は、「宝石ではない」と知った今でも思わず見惚れてしまいそうな、上質な美しさがありますね。古くは奈良時代に唐から渡ってきたものだそうですので、これはきっと全国のミュージアムにたくさん所蔵されているに違いないと思って、MAPPS Gatewayへ。検索してみると、少し意外なものに使われた事例もたくさん見つかりました。そこで、今回は「螺鈿」コレクションを紹介いたしましょう。

 

●螺鈿花唐草文書格 |福岡県立美術館
https://jmapps.ne.jp/fma/det.html?data_id=1800

写真から圧倒的な気品が感じられますね。高い地位の人が書をしたためるのに使っている様子を思い浮かべてしまいました。

●黒漆鋸歯石畳文螺鈿筆 鞘付 |愛知県美術館(木村定三コレクション)
https://jmapps.ne.jp/apmoa/det.html?data_id=12120

中国の明時代~清時代(16〜17世紀)の筆。こちらは画像が拡大できますので、ぜひ細部をご覧ください。想像以上の精密な細工に絶句してしまいました。実物はさぞキレイなのでしょうね…。

●黒漆桐紋牡丹唐草文螺鈿鞍 |愛知県美術館(木村定三コレクション)
https://jmapps.ne.jp/apmoa/det.html?data_id=14521

江戸時代に使われた馬の鞍でしょうか。こんなに繊細な工芸品を馬具として使っていた? いまでもちょっと信じられないくらいですので、当時はさぞ重宝されたのではないでしょうか。こちらの学芸員の話では、螺鈿の技法は平安時代に大きく発展し、鎌倉時代にその技法が軍陣鞍に応用されたとか。国宝・重文になっている例もあるそうで、曲げられない貝を、鞍の複雑な曲面になじませるには高い技術が要るとのことです。

●刺股 |上島町デジタルアーカイブ
https://jmapps.ne.jp/kamijima/det.html?data_id=463

江戸時代に罪人を捕らえるのに使用された「さすまた」です…ですよね? 絵の部分に螺鈿の装飾があるようなのですが、いまほど人権意識が高くない時代の物騒な場面で使われた品に、豪華で繊細な印象の螺鈿細工? 先ほどの馬具もそうですが、螺鈿の装飾は、もしかしたら私が思っているより身近で庶民的な面もあったのかも…と、謎は深まるばかりです。

●広東時計 |松本市時計博物館
https://jmapps.ne.jp/matsumototokei/det.html?data_id=118

こちらは一転して、イギリス製の広東時計。清朝時代の中国では、海外製品は広東港から入ってきたそうですが、この時代に広東港から陸揚げされて中国全土に広がった時計を「広東時計」というのだそうです。枠に施された螺鈿細工が高級感を演出していますね。そうそう、これが私が持つ螺鈿のイメージです。

●草花蒔絵飾棚 |金沢美術工芸大学美術工芸研究所
https://jmapps.ne.jp/ktki/det.html?data_id=525

こちらも凄いですね、大正時代に活躍した名工・二木成抱の作品だそうです。金銀と螺鈿で美しい絵が描かれ、とても豪華な雰囲気を演出しています。こちらのページにはとても詳しく解説が書かれていて、装飾部分の写真も拡大してじっくり見ることができます。ぜひご覧ください。

 

いかがでしたでしょうか。その繊細な美しさから「鑑賞用のものが多いのだろう」と思っていたのですが、実際に検索してみると、自分のイメージとはかけ離れた品にも使われていて、驚いてしまいました。庶民には手が届きそうにないものは当然としても、日常使いのものにもこれほど美しい細工が使われていたとは…。もしかすると、昔の日本の方が「美」が身近だったのかも? ちょっと調べてみたくなりました。

 

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