いつも最先端で、人々とともに生きた「ラジオ」たち。

TR-610 ポケッタブルラジオ|アーカイブ中核拠点形成モデル事業 プロダクトデザイン データベース β版

 

みなさん、ラジオは聴いていらっしゃいますか? 私の場合は、出張先のレンタカーの中で聴いています。でも、独身の頃は自室でFMラジオを流しっぱなしだったので、この頃は少し縁遠くなっていると言えます。IT時代に入ってからのライフスタイルの変化を痛感しますが、今年は自然災害が多かったこともあり、防災グッズとしても意識する機会が多かった気がします。

そんなわけで、今回はMAPPS Gatewayで「ラジオ」を検索してみました。思いのほか、いろんな横顔を楽しむことができましたので、ご紹介しましょう。

 

まず、古いラジオから。インテリアとして秀逸と思える逸品揃いです。

●ラジオ|野田市郷土博物館・市民会館 資料データベース
https://jmapps.ne.jp/ndskdhk/det.html?data_id=2187

大正時代のラジオです。キッコーマン株式会社の前身の会社の設立に携わった、醤油醸造で有名な茂木佐平治家の邸宅で使用されていたものだそうです。そう聞くと、瀟洒な応接間の気品のようなものが漂っているように見えてくるような。貴重な品ですね。

●四玉ラジオ|岐阜県博物館 収蔵資料データベース
https://jmapps.ne.jp/gifuhaku/det.html?data_id=2233

明治期に創業し、昭和の恐慌で破産した蘇原銀行頭取の家財のひとつだったそうです。木製のフレームが温かい雰囲気で、応接間のダッシュボードの上が似合いそうです。先ほどの茂木佐平治宅のラジオと同様に、もしかしたら当時の「成功者の証」だったのかもしれませんね。

●ラジオ|高松市平和記念館 収蔵品データベース
https://jmapps.ne.jp/takamatsu_bunka_center/det.html?data_id=3393

個人的には、「昔のラジオ」と言えばこういうイメージですね。「納屋で作業する時に、高いところに置いて聴いていた」とのことで、情景が浮かびます。言われてみれば、前のふたつに比べて生活感が滲んでいるような。

●ナショナル国策受信機KS-10|岩手県立博物館 デジタルアーカイブ
https://jmapps.ne.jp/iwtkhk/det.html?data_id=7920

解説によると、日中戦争の頃に作られたとか。鉄や銅などを節約する工夫が凝らされているそうです。確かに質素な雰囲気かも。このページでは、裏側の写真も見られますよ。

 

●ラジオ|江別市郷土資料館 収蔵品データベース
https://jmapps.ne.jp/ebetsu/det.html?data_id=20146

昭和15年ごろに作られたもので、配給で当たったと解説に書かれています。また、当時は村に数台しかなかったとも。ラジオが人々の情報源だったことがうかがえます。

 

それぞれの写真からは、各時代の空気感が伝わってくるようですね。これが戦後になると、「機能美」が前面に。同じラジオとは思えないほど、デザインは大きく変化していきます。

●ハミルトン・ロス・カメラ・ラジオ|横浜市民ギャラリーあざみ野 横浜市所蔵カメラ・写真コレクション データベース
https://jmapps.ne.jp/azamino/det.html?data_id=2228

これは1948年ごろのもの。見た感じはかっこいいのですが、このデザインの中にカメラ機能とラジオ機能が収まっているというのが凄いです。これに電話が付けば現代のスマホのようなイメージ…と言うには、ちょっとサイズが大きすぎますね。

●エア・キング・カメラ・ラジオ|横浜市民ギャラリーあざみ野 横浜市所蔵カメラ・写真コレクション データベース
https://jmapps.ne.jp/azamino/det.html?data_id=2229

カメラ&ラジオのモデルは、ほかにもあります。こちらは1950年頃のもので、写真ではわかりませんが、寸法を見ると、ひとつ前のものより少し小型化しているようです。デザインも、搭載している機能が分かりやすい感じですね。

●TR-610 ポケッタブルラジオ|アーカイブ中核拠点形成モデル事業 プロダクトデザイン データベース β版
https://jmapps.ne.jp/musabi_art_lib/det.html?data_id=1644

こちらは、1958年の製品。ソニーのロゴが輝いて見えます。シンプルで、ポケットに入れて持ち運べるサイズ。これなら、いま持っていてもおしゃれかも。

 

●ラメラ|アーカイブ中核拠点形成モデル事業 プロダクトデザイン データベース β版
https://jmapps.ne.jp/musabi_art_lib/det.html?data_id=1842

●ラメラ|横浜市民ギャラリーあざみ野 横浜市所蔵カメラ・写真コレクション データベース
https://jmapps.ne.jp/azamino/det.html?data_id=2299

カメラとラジオのW機能という製品は、意外に多かったのですね。こちらは。16mmフィルムカセット用カメラ&トランジスタラジオで、1959年に作られたそうです。内部の写真も公開されていますが、60年前のものとは思えないコンパクトさ。1台欲しいくらいです。

 

●ラジオ(32Band)CRF-320「ワールド・ゾーン」|アーカイブ中核拠点形成モデル事業 プロダクトデザイン データベース β版
https://jmapps.ne.jp/musabi_art_lib/det.html?data_id=499

1975年のラジオ。この時代になると、かなりメカニカルな雰囲気になってきます。少し調べたところ、発売時の定価は30万円以上したものらしく、いまでも根強いファンがいるみたいですね。

 

現代でもスマホ用のアプリなどがありますが、姿や役割は時代によって大きく変化しつつも、ラジオはずっと人とともにあるのですね。博物館のコレクションからは、各時代の最先端を走る製品で、なおかつ生活に深く根ざしてきたということが分かります。それを使っていた人々の生活や体温までまとっているようにも思えました。

現代のハイテクデバイス以上に豊かな表情で楽しませてくれる、昔のラジオたち。というわけで、最後に「人とともにあるラジオ」を象徴する写真をご紹介しましょう。

●生活/湖東地域/昭和30年代|滋賀県立琵琶湖博物館 歴史・民俗データベース
https://jmapps.ne.jp/biwahaku_h/det.html?data_id=88701

昭和30年代のある日、公民館前の空き地に電気屋さんが来て、ラジオを修理している様子だとか。周囲は「何となく集まってきた」人々、つまり弥次馬(失礼)の皆さんというのが、何とも微笑ましい1枚ですよね。なお、これが何をしている写真なのか、聴き取り調査で判明したという点にもご注目を。

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