名作が、名作を生む…「物語のチカラ」について。

 

Taketori Monogatari |Wikimedia Commons

 

みなさんは、「かぐや姫」と聞くと、どんな映像を思い浮かべますか? 私は、幼いころに見た絵本だったと思うのですが、明らかに子ども向けに描かれたかわいらしい絵を覚えています。有名な物語だけに人それぞれの像があるはずですが、きっと世代ごとにテイストやタッチの傾向が異なるのでしょうね。

かぐや姫が登場する「竹取物語」は、平安時代の初期に成立した日本最古の物語と言われています。何しろ、あの「源氏物語」の中でも触れられる箇所があるそうですから、凄まじい歴史ですね。千年以上も語り継がれている物語であれば、きっと我々の先人たちも、それぞれの時代の「絵」を脳裏に描いていたのでしょう。現代人とのイメージの違いは、もはや「世代間の差」どころの話ではないはずです。

竹取物語に限らず、ミュージアムのコレクションには、実は「物語」から派生した作品がたくさんあります。物語からイメージを膨らませて自分自身のクリエイティブに活かすスタイルは、今で言う「メディアミックス」にも通じるスタイルかもしれませんね。というわけで、今回は「物語」にまつわるコレクションを、<MAPPS GATEWAY>で見ていきましょう。

 

【竹取物語】

■「竹取物語(下図)画巻」:東京藝術大学大学美術館
https://jmapps.ne.jp/geidai/det.html?data_id=33805

データベースによると、小林古径による1910年代の作品だそうです。明るいけれど穏やかな色合いが素敵ですね。

 

■「竹取物語」:東京藝術大学大学美術館
https://jmapps.ne.jp/geidai/det.html?data_id=2339

こちらも近い時期の作品です。中央の紅一点がかぐや姫でしょうか。華やかな雰囲気が素敵ですね。

 

■ 松原直子「竹取物語 竹の中で輝くものを見付ける竹取」:西宮市大谷記念美術館
https://jmapps.ne.jp/otanimuseum/det.html?data_id=1462

■ 松原直子「竹取物語 かぐや姫と竹取の翁」:西宮市大谷記念美術館
https://jmapps.ne.jp/otanimuseum/det.html?data_id=1463

木版画の作品ですが、シンプルな分だけ独特の味わいと力強さが際立ちます。特に、人物に動きがあるようで見ていて楽しくなります。この作品は1966年に出版された「Tale of the Shining Princess(竹取物語)」の挿絵原画として制作されたもので、同書の翻訳は実姉の松原久子が行ったそうです。日本を代表する物語を、姉妹で力を合わせて世界中の人に届けたなんて、何とも素敵なエピソードですよね。

 

続いては、前述の源氏物語です。平安時代の貴族社会が描かれた作品ですが、主人公の光源氏がとても魅力的な美少年ということもあってか、現代でもゆかりの地を歩くファンもいるほどの人気ぶり。おそらく世界的にも「空前絶後のロングヒット」なのではないでしょうか。

そんな作品ですから、後世の人々が「絵にしてみたい」と思うのはごく自然なこと。竹取物語と同様に、派生作品も名作の宝庫です。

 

【源氏物語】

■ 荻生天泉「秋好中宮(源氏物語)」:二本松市教育委員会
https://jmapps.ne.jp/nhmsik/det.html?data_id=6692

拡大した画像を見て、「穏やかな表情の女性だなあ」と感心しました。秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)は、春と秋でどちらが好きかと問われて後者を選んだことから付いた名だとか。作者は明治生まれ、この作品は昭和11年の作だそうです。

 

■ 声劇和楽団「源氏物語~陽光の姫 夕闇の君~」:サントリーホール
https://www.suntory.co.jp/suntoryhall/archive/det.html?data_id=17981

こちらは、舞台のポスターです。現代のイラストにすると、光源氏はこんなにかっこよくなるんですね。

 

ロマンティックな物語と言えば、平安時代前期に作られた「伊勢物語」も代表作のひとつですね。登場する話の多くが恋愛物語ということで、「時代を超えて心を揺さぶる恋のドラマ」は今もファンが多いようです。

【伊勢物語】
■ 伝俵屋宗達「「伊勢物語図」色紙」:東京藝術大学大学美術館
https://jmapps.ne.jp/geidai/det.html?data_id=22440

江戸時代に制作された伊勢物語の色紙。文字の部分、何が書かれているか気になりますね。

 

最後は、江戸中期に上田秋成という浮世草子の作者が書いた「雨月物語」です。鬼気迫る怪奇描写が特徴とのことで、雨や月は怪異が現れる場面の前触れとして描かれているとか。

 

【雨月物語】

■ 「雨月物語」:香川県立ミュージアム
https://jmapps.ne.jp/kpm/det.html?data_id=24140

絵で見てみると、確かにおどろおどろしい感じがします。昔の人々は、私たち以上にドキドキしながら読んでいたのでしょうね。

 

いかがでしたか? 時代を超えて語り継がれる物語は、たくさんの「映像」を生み出すもの。昔の人々のイマジネーションの産物も、ミュージアムのコレクションとしてたくさん残っています。

ひとつの作品が次の作品を生み、さらにたくさんのイメージへとつながる。無数に広がる「物語」は、時に作者すら想像しなかった「映像」を生み出していくのかもしれませんね。特に、まったく異なる時代の人が同じお話に接した時の感覚の違いは、とても新鮮に映ります。きっと面白い刺激をもらえるはずですので、ぜひミュージアムで探してみてくださいね。

 

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