多治見市モザイクタイルミュージアム

ご覧ください、この愛くるしい外観。岐阜県にある「多治見市モザイクタイルミュージアム」にやって参りました!
こんもりとした丘のような姿は、タイルの原料を掘り出す「粘土山」を彷彿させますね。

 

こちらの建築は藤森照信氏によるもの。ユニークで温かみのある建築を多数手がけており、世界的にも評価の高い名士です。
あの赤瀬川原平の旧宅「ニラハウス」も彼の代表作のひとつですが、屋上にぴょんぴょんと緑が顔を覗かせているところは、ちょっと似ているかもしれませんね。

 

グッと近づいて、入口部分です。歪な曲線がかわいらしいですね。
ところで、公立美術館のエントランスと言えば、ガラス張りのイメージ。誰でもが入りやすいように開放性を持たせているところがほとんどかと思いますが、その意味では、こちらは正反対と言えるでしょう。
入りにくい? いえ、最初こそ少し勇気が要りますが、それはそのまま未知の世界に踏み出すドキドキ感になるのです。
「扉を開けて、中へ入る」ことが特別な行為になるなんて、とっても素敵じゃないですか!

 

まずは、上にのぼってみましょう。こちらは、4階の常設展示室。
まあるく空が見えますが、窓はありません。実は、そのまま外に繋がっているんです。雨の日には、粒々のモザイクタイルに雫が垂れるシーンを楽しめるそうですよ。

なお、4階の展示物は建築に備えつけられていて、他の場所に移すことができないそうです。その日、その時、ここでしか見られない、とっておきの光景なんですね。

 

3階では、タイルの歴史や製造工程を学ぶことができます。懐かしいデザインのタイルがたくさん! 銭湯や旅館の大浴場などで見かけたのでしょうか、なんだか見覚えのあるものも多いようです。

写真のように、企業の営業用サンプルが、後にその時代を映し出す貴重な資料になるのも、プロダクトデザインの面白いところですね。たとえば江戸時代の服地の見本帳などはまさに当時の流行を伝えてくれますが、タイルも同じ文脈で語れそうです。

 

左の写真の「はり板」にモザイクタイルを敷き詰めると、右の写真の図柄(中央・青)が完成します。パズルみたいですね! このタイルの表面に「紙張り」をして、デザインが崩れないように出荷するというわけです。

ちなみに、その後は、表面に紙を貼ったまま、裏面を壁などに接着材等で貼りつけます。接着させた裏面を乾燥させてから、表面の紙を湿らせてはがす、という順序。
やり方がわかると、自分でもやってみたくなりますね!

 

ワクワクさせられたところで、2階のショールームに移り、実際に手に取って見てみましょう。こちらでは、最先端のデザインも体感できますよ。

ちなみに、このサンプルコーナーには、タイルのコンシェルジュさんも常駐しているのだそうです。特に家の新築や増改築のご予定のある方にとっては、まさに要チェックの場所ですね。

 

サインが描かれたタイルは、海外から来た方にも喜ばれそう

デザイン性の幅広さに加え、生活に溶け込む実用性も楽しいタイル。私たちが想像している以上に使い勝手がよく、応用が利くインテリアアイテムとしても実に魅力的です。
そんなタイルの魅力を、たくさんの実物を通して体感できる貴重なミュージアムへ、皆さんも、ぜひお出かけくださいね!

 

●多治見市モザイクタイルミュージアム
http://www.mosaictile-museum.jp/