「ジャポニズム」発祥の国をもっと身近に! いつもと違う「フランス」巡り

フランス 10000フラン|国立印刷局 お札と切手の博物館

五輪を筆頭に、さまざまなビッグイベントが軒並み中止・延期となった夏。前回取り上げた第43回『隅田川花火大会』が7月11日の開催を予定していましたが、その前週に開幕するはずだった現代の日本文化を象徴する大イベントも中止となりました。何だかお分かりでしょうか。それは、パリで予定されていた第21回『ジャパンエキスポ』です。

黒船来航の5年後にあたる安政5年(1858年)の日仏修好通商条約以降、日本がフランスから学んだものは数え切れませんが、その逆もまた然り。ジャパンエキスポは、近年の日本人気の象徴的なイベントのひとつと言えるでしょう。2000年の第1回では3千人ほどだったという入場者数が、ここ数年は何と4日間で20万人を突破し続けているとか。

印象派と浮世絵、騎士道と武士道、フレンチと和食、パリと東京。互いに影響を与え合える相思相愛(?)の国ということで、今回は「フランス」をキーワードに日本のミュージアムのコレクションを検索。いつもの華麗なフランス巡りとは少し角度を変える形で、個人的に気になったものをチョイスしてみました。

 

●ヒプセロサウルスの卵|岐阜県博物館
https://jmapps.ne.jp/gifuhaku/det.html?data_id=123779
まず目に付いたのが、ヒプセロサウルスの卵の化石。ヒプセロサウルスは、プロヴァンス地方で発見された化石から研究が進んだ竜脚類恐竜だそうです。ひび割れが亀の甲羅のように見えますが、それもそのはず、解説には「非常に殻が薄い」とあります。よく割れずに「生き残った」ものですね。なお、成長後の想像図を検索したら「あぁ、あの体型の恐竜ね!」となりました。

 

● 裂|女子美術大学美術館
https://jmapps.ne.jp/jam/det.html?data_id=520
次はこちら、17世紀にフランスで製作されたシルクの生地のようです。複数色の糸が組み合わされて、色とりどりの花や葉が立体的に描かれています。織の目の様子はぜひ現物で見たいものですが、ここは拡大写真で。倍率を上げられますから、ぜひじっくりとご覧ください。何だか、日本人としても「あ〜、気持ちが分かる〜」という感覚になりませんか?

 

● ミュゼット|浜松市楽器博物館
https://jmapps.ne.jp/gakkihaku/det.html?data_id=198
こちらは、かつてフランスで流行した楽器のひとつ、ミュゼットです。バグパイプの一種で、画像左側のふいごを使って画像右側の袋に空気を溜めて、リードのついた白い管から出して音を鳴らします。バグパイプと聞くとスコットランドを思い浮かべますが、フランスにはサイズが少し小さいものもあったようですね。ぜひ音を聴いてみたいものです。

 

●シャンデリア時計|松本市時計博物館
https://jmapps.ne.jp/matsumototokei/det.html?data_id=80
これはすごいですね。19世紀にフランスで作られた時計なのですが、何とシャンデリアの中央に文字盤と針が付いています。七宝・ローマ数字・葡萄唐草文様という、いずれも西暦紀元の頃から伝わる技術やモチーフを組み合わせて作られているそうで、なんとも格調高い雰囲気。さすがは時計博物館です。

 

● フランス風景|岡山県立美術館
https://jmapps.ne.jp/okayamakenbi/det.html?data_id=2497
洋画家・満谷国四郎が明治44年(1911年)から大正3年(1914年)にかけて臨んだ2度目の渡欧で制作した作品。パリ万博でのメダル獲得をはじめ輝かしい実績を積んでいた満谷国四郎が、その超絶的技巧を捨てて初歩のデッサンから取り組み直したというパリでの日々。そんなエピソードを噛みしめながら眺めると、より濃厚な味わいが広がります。

 

● フランス田園風景|姫路市立美術館
https://jmapps.ne.jp/hmgsbj/det.html?data_id=1599
こちらも洋画家・青山熊治が大正9年(1920年)に発表した作品。やはりシンプルなタイトルが付いていますが、見た瞬間に引き込まれるような迫力を感じますよね。よく見ると、画面中央から右側にかけて、ぽつりぽつりと人影のようなものが描かれています。その大きさの対比から、手前の樹木の生命力が伝わってくるようにも思えます。

 

● フランス 10000フラン|お札と切手の博物館
https://jmapps.ne.jp/ostoki/det.html?data_id=3497
こちらは、1954年に発行された10000フラン紙幣。重厚な雰囲気の日本の紙幣と比べると明るくカラフルで、モダンな印象です。興味深いのは、画像1枚目中央の地球儀。欧州とアフリカを中央に置いた図は、日本人の目には何だか新鮮ですよね。なお、フランスは1960年のデノミネーションで1/100の新フランに。その後は、ご存じの通りユーロへと移行しました。

 

● M / シャンベリ、フランス|金沢21世紀美術館
https://jmapps.ne.jp/kanazawa21/det.html?data_id=915
最後に、写真家・ホンマタカシ氏の作品から。シャンベリとはフランス東部の歴史ある町で、世界のマクドナルドの店舗写真をもとにしたシルクスクリーン作品シリーズの一作です。一見すると何気ない街角の風景ですが、画像を拡大していくと、印刷物で言うモアレのような模様が。日常と非日常の境目に入るような、何とも不思議な感覚でした。

 

いかがでしたでしょうか。お馴染みのスマートなフランス文化も素晴らしいのですが、超王道のお宝巡りから路地に入るように視点をずらすと、さらに多様な方向に好奇心が向くものですね。これだから、ミュージアムは楽しいんですよね。

ちなみに、フランスでも新型コロナウイルス感染症の第2波が懸念されているようですね。早く終息して、互いに交流を育む姿を取り戻したいものです。

 

MAPPS Gatewayをキーワード「フランス」で検索した結果はこちら